新規お取引スタートしました!
新潟の豊栄に蔵を構える「越後伝衛門」。
2021年に加藤晃葵(35)さんが蔵を継承し、今年から本格的に酒造りを開始。
純米酒の普及に貢献した上原浩氏の醸造哲学を受け継ぐ、最年少の造り手です。
たった一人で蔵に住み込み、日々酒と向き合い、
各工程に惜しみなく時間と労力を注ぎ込む、まさに職人。
その為、まだまだ極少量生産で各銘柄500本~1000本(四合瓶)ほどの本数。
シンプルで味わい深く、じんわりと懐に響く美味しさです。
まだ2造り目ですが、大化けする片鱗を見せている加藤さん。誠実で実直で、酒造りに対して素直な人柄そのものが味わいにも現れています。
ぜひ応援してください!
▼理念・モットー
Back to the Basics. Basic to Classic.
"戦前の常識"と呼ばれる、戦後失われつつある正統な酒造り(=BASIC)を継承し、清酒本来のかたちである"純米酒(=日本酒)"を通じ、日本酒の名作(=CLASSIC)を造り上げます。
▼造りに於ける宣言
・"出品酒規格"の完全超小仕込み(総米300kg)
・精米歩合50%に統一
・吟醸造り、しかし特定名称は名乗らず普通酒扱い
・901号酵母に統一
・酒槽しぼり(手動圧)にて上槽
・ビン燗火入れ・ビン貯蔵、低温貯蔵
・生酛漸近系普通速醸酛にて酛立て
・四季醸造、かつたったひとりにて製造
▼酒質の特性
コンセプトは"膨らみと涼しさをもつ、飲み飽きしない酒"。
一般的な新潟の酒質は、含んでから終盤まで、いわゆる”淡麗”なものが多い。
アル添文化と炭濾過による必要以上の"淡麗さ"を推し進めると、酒は画一化してしまう。
そこで伝衛門では"新たな新潟の酒"として、以下3点を特徴とする酒質設計により、新潟の酒の固定観念にゆらぎを与え、新潟の酒ひいては清酒の売上の底上げに貢献したく考えている。
①中盤に味巾、立体的テクスチャ、奥行を独自の酒母「生酛系漸近型普通速醸酛」によって表現
②終盤は酸で味を切り、アミノ酸系由来の嫌な雑味を残さないため、味切れの消失感は涼しく感じる。
③余韻には「渋」をあえて出すことで、次の食事へといざなう"呼び水"として設計
淡麗のイメージを払拭しつつ濃醇でもない、"新たな新潟のお酒"の創造を目指します。
▼会社沿革
1953.10.01 日本錦酒造
(その後、越酒造→越乃蔵酒造)
2000.01.01 (株)越後伝衛門に社名変更
2019.12- 新型コロナウイルスのあおりを受け製造停止(事実上の休造・休止)
2021.05.01 休止(※プレスリリースにて)
2021.07.01 事業継承
2022.01- 復活蔵として醸造再スタート(R3BY試験醸造)
2023.03- 蔵の改修が完了 本格的に事業開始(R4BY~)
▼商品情報
『タマキハル -環割-』
720ml 3,000円(税込)
爽やか綺麗なタイプであり、始まりの酒。
「ベーシック」「王道感」を醸し出している。
▼今期の所見や思いなど
二造り目の越淡麗でした。県内でしか流通しない米のため、参考になる酒が少なく、どのような造りが最もこの酒米を活かせるか、探りながらの仕込みでした。
今回は前回のイメージを継承しつつ、ややエキス分(主にグルコース)を残した設計にしました。越淡麗は五百万石の特性(硬い、溶けにくい、スカスカ)に近い感触で、味が乗らない、味巾がないように感じてしまいます。
この味巾("膨らみ"の部分)を甘で表現しようとしました。そしてアルコールの高さでそれを崩さないように、15%設定としました。さらなる改良を目指していきます。
このタマキハルは僕の始まりのお酒でもあります。初仕込みのモチベーションを忘れずに、越淡麗の酒で一番手になるようなお酒を目指します。
お飲みになる際は、常温(15℃以上)での飲酒をお願いできましたら幸いです。
不思議なのですが、造ったお酒は(現在主流の)冷やで飲むとまったく香味がひらきません。造っておいて恐縮ですが、おいしくなかったです。
常温に戻していくと別の顔を見せます。燗ではなおのことです。
▼モチーフやコンセプトについて
「たまきはる」とは枕詞のひとつで、「命」・「世」などに掛かります。
しかしながら掛かり方など、詳細不明の枕詞としても有名で、その謎めいた背景に惹かれてこれを酒銘としました。
ロゴの円のひとつは、よく見ると外円に接続しており、アルファベットの「Q」にみえるように指示しました。
この「Q」にもさまざまな意味を込めていますが、上述と関係するものとして「Question」が挙げられ、一種の謎めかした雰囲気を補強する役割を果たしています。
円がふたつ交わった図像(厳密にいえばその中心にできた楕円形)は"ヴェシカ・バイシス"と呼ばれ、神聖幾何学では「あらゆるものの、はじまりのかたち」と云われています。
原始キリストのシンボルでもあります。
酒造りを行い、初めてできたお酒ですので、まさに「これからのはじまり」を告げるにふさわしいモチーフだと思い、採用しました。また上記酒銘との親和性(「命・世」など)も高く、トータルで気に入っております。
〇をふたつ重ねる、その図像から「無限∞」や「8」を想像することは容易です。僕が(19)88年生まれであったり、継承した酒蔵が県内で88番目の蔵であったり(お願いした作家さんも88年生)、88を「八十八」にすると米になったりと、おもしろい偶然に引き寄せられております。
しかしながら∞は「無限ループ」という言葉もあるように、始まりも終わりもない「永遠の無」がつづくことも含意されていると僕は考えています。
生産者である以上、生み出さなくてはいけず、この円環を抜け出し先に進ませなくてはなりません。
それが「タマキハル(僕は当て字で「環割」としました)であり、「命」であり、「8から9(=Q)」であります。
ヴェシカ・バイシス内やほかのモチーフには、「稲・酵母・水」などを使用しました。それらが混じりあって「お酒」になることを含ませています。
また作家さんの計らいで(?)龍の顔のようなもの(88年生まれは辰年)が描かれていますが、無限はウロボロスもイメージできるように「蛇」がかかわってきます。
『東洋坂 -トヨサカ-』
720ml 2,750円(税込)
唯一の生酒であり、ジューシーな甘みのあるタイプ。
彼自身の酒造りの中でも異質な方向性。
▼今期の所見や思いなど
滋賀の吟吹雪は初めて使う米でした。
溶けやすい米で、米のガワの味が多く出ています。醪をきいていた段階で、これはムロゲン(無濾過生原酒)だと確信するほど、テクスチャが押し出されていましたので、追い水もせず、汲水歩合も通常のものより詰めたので、かなり濃密な仕上がりになりました。
単体では甘が残存し、その甘が渋をマスキングしてしまいますが、肉系、とくに赤身の肉を合わせると甘が消え、終盤域の渋が広がりました。溶けやすい愛山の予行演習にもなり、個人的に気に入った米なので、さらなるブラッシュアップ、具体的にはもう少し醪を引っ張りメーターをプラス(糖食わせる)ように設計仕様と思います。
▼モチーフやコンセプトについて
滋賀の酒造器具メーカーで、伝衛門もお世話になっている「東洋商会」から東洋を取りました。また伝衛門のある地区(新潟市北区)はかつて「豊栄(とよさか)」という地名であり、東洋坂(よ(う)よ(う)さか」と読めるようにもじっています。また、TOKYOからK(加藤)が抜けるとTOYOになるため、練馬(ギリギリTokyo)から新潟(Toyo)へ向かう意味も込めています。
降りしきる猛吹雪の上り坂を登るイメージは、酒米「吟吹雪」とかけており、また今後険しい道を登っていく辛さ、困難さを自身の心象風景として描いてもらいました。
最初は女性の顔が見えていたのですが、あえて雪で覆うように指定し、即物的(具像的)なものではなく抽象化されていく様を表現し、官能(評価)の世界へいざなう暗示として描いています。
『GOZ -ゴズ-』
720ml 2,200円(税込)
新潟の酒蔵にとって必ずといっていいほど使う酒米、五百万石。
独自の味わいの引き出し方に尽きない造り欲。
▼今期の所見や思いなど
五百万石は味がでないという認識でいたので、いかに酒質コンセプトの"膨らみ"部分を出そうかR3BYの時から思案していました。今季の解決策としては、酵母に死んでもらい、アミノ酸からくる味の多さを以て、五百万石の味わいを形成しよう(バランスをとろう)と考えました。
自分の信条(低アミノ酸)からは真逆の発想なので不安にかられながらの上槽でした。上槽時も変な味の汚さを出すのを恐れた為、グラビティ(自重のみ)の搾りで、必要以上に雑味を出さないようにしました。この"ライブ感"はひとりで造っている者の特権のように思えました。
味の出ない米でいかに膨らみを作り出すか――このテーマは早生品種全般にいえると思うので、試行錯誤がしばらく続きそうです。
▼モチーフやコンセプトについて
1950年代に生産量が500万石になったことに因んで名づけられた「五百万石」を50%磨いて造りました。
5尽くしで5s=ゴズです。県内には牛頭山(ゴズさん)という山があり、描かれた女性の身長の高さはそれぞれ「五ノ峰~一ノ峰」の標高の比率と一致するようにデザインしました。
Life goes on.(Life GOZ on.)山あり谷ありの人生ですが、それでも生きていくしかない自身んへの諦念にも似たポジティブを、皮肉めいたサブカル調で表しています。
背後にタマキハル、ミシャグチ、東洋坂と同様ヴェシカ・バイシスのモチーフを散りばめました。各女性はまた「五感」も示唆しており、五感で味わってほしいという気持ちを込めています。
『ミシャグチ -石神-』
720ml 3,520円(税込)
いわゆる"オマチスト"である彼にとっても思い入れの強い酒米。
液体から漲るパワーが群を抜いてます。
▼今期の所見や思いなど
一番の難産が雄町でした。有史以来交雑せずに残っている日本米の固定品種が、山田錦のような醸造特性を持つわけでもなく、雄町で造られた酒質の多様さはこの造りにくさに起因するのではないかと感じたほどです。
もともと自称"オマチスト"なので、その名に恥じぬ雄町の酒を造ろうと思い、また仕込みが最後だったのでギリギリまで長期で引っ張ろうと試みました。醪日数は40日で、醪初期で割りと溶けたので、最高品温を10℃未満の低温で引っ張りました。結果として901で酢イソがしっかりと出ました。
これが本来の吟醸香なのかと少し感動しました。香りの密度が濃いような気がします。
文献上が、1935年ごろの吟醸酒が似たようなスペックでした。ある意味でBack to the Basicsですが、さらに高みを目指します。
▼モチーフやコンセプトについて
雄町は先述の通り、日本に古来より存在する純和系の米と云われています。
ミシャグチは土着信仰の神の名で、全国に点在する「石神井(シャクジイ)」はおそらくこの名残と考えています。ご飯をすくうしゃもじもおそらくこれが由来です(しゃもじがご神体のところもあります)。
そんな土着信仰の時代(天孫降臨の前)から、雄町はあったのだろうとの完全な憶測から、この名としました。
石の神でもあるので、図像には石をちりばめ、また雄町独特の硬質な(?)テイストを視覚的に表現するようにしました。
今回は備前雄町ですが、赤磐雄町にゆくゆくは、との思いとミシャグチが御赤口(または御左口)の字をあてるため、テーマカラーを赤にしました。次のラベル印刷ではもう少し怪しく赤が光るようにマイナーチェンジ予定です。